2025-07-31

LiD/APDとは?


LiD/APDとは・・・

APD:Auditory Processing Disorder(聴覚情報処理障害)の略
LiD:Listening difficultiesの(聞き取り困難症)の略

聞こえているのに聞き取れない、なぜか聞き間違いが多いなど、聴力には問題がないにも関わらず会話を成立させることが困難だったりすることがある症状です。

1950年頃より欧米で研究が始まって以降、海外ではLiDが使われることが多いようです。ですが、日本ではLiD/APDと表記されることが多いです。
以下よりAPDとします。

APDは発達障害と密接な関係があります。
聞こえているのに言葉と認識できない、もしくはワンテンポ遅れて理解に至るなど、脳の情報処理をつかさどる部分に何らかの問題があると考えられているようです。
日本における推定患者数は、240万人とも言われていて、人口の約2%に相当します。世界で見ると世界全人口の約1%と推定されており、約8億人の人々に影響を及ぼす可能性があると示唆されています。

では、このAPDがあると何が困るのでしょうか?

・聞き間違い、聞き返しが多い
・雑音のある場所での会話が難しい
・複数人での会話が難しい
・口頭での指示を理解するのが難しい
・早口や小さな声を聞き取りにくい
・電話の声が聞き取れないことがある

などなど、日常生活で困ることがたくさんあります。
例えば、相手が「25人(にじゅうごにん)」と言ったのを「15人(じゅうごにん)」と聞き取ってしまうと全然違いますよね?
このように、最初の一音が聞き取れないといったこともあります。
電話は相手のいる場所次第で聞き取りにくいことがあります。

聞き取り困難に最も大きな影響を与えているのがカクテルパーティー効果が弱いということです。
カクテルパーティー効果とは、騒がしい場所でも自分のことや関心のある会話を聞き分ける脳の機能のことです。
この機能が弱いと全ての音が同じボリュームで聞こえてしまい、聞き分けるのは困難になってしまいます。弱さには個人差がありますが、APDの人はこの聞き分けが最も苦手です。

また、聞きづらさがあるため集中力が散漫になったり、しばしば相手に話を聞いているように見えないと感じられることもあり、APDの人は日々の生活や社会生活において、生きづらさを感じることがあります。

では、治療法はあるのでしょうか?
残念ながら今現在、発症のメカニズムも明確になっておらず、有効な治療法はありません。
ですが、各々が工夫をすることで生活をしやすくなります。

例えば、ノイズキャンセリング機能の付いたイヤホンを使用することで、雑音もシャットアウトできます。
また、口頭でのやり取りよりメールやチャットで文字のやり取りを行うことで、伝え間違いが減少します。
仕事の場合、可能であれば在宅勤務にしてもらう、オフィスに音環境調整のための防音パーテーションを置いてもらう、イヤホンを漬けることを伝えておく。
そして、周囲の人にあらかじめ伝えておくことも大切です。

海外に比べて、APDの日本での認知度はまだまだ低いのが現状です。
的確な診察ができる医療機関も少ないため、「もしかして・・・」と思ってもなかなか診断まで辿り着くことができません。

もし、気になる方は、一人で悩まずにまずに近くの医療機関に相談してみてはいかがでしょうか。
同時にインターネットで情報収集を行うことも忘れずに!